LTspiceでRF基板作り！プリント配線の伝送性能チューニング

摘要

高速A-D／D-Aコンバータ，FPGA，RF ICなどの高性能なアナログICが個人でも入手できるようになりました．フリーのプリント基板CADも増え，今やソフトウェア無線やハイレゾ·オーディオなどのハイエンドな電子工作ができる時代です．しかし，これらの高速ICの性能を引き出すためには，プリント基板のパターンのケアも欠かせません．数十MHz以上になると，基板上には見えない信号／グラウンド配線などの寄生容量や寄生インダクタンスの影響が特性に現れます．高速ICを使ったプリント基板作りは，一筋縄ではいかないことが多く，大手企業などでは，数百万円以上の専用のソフトウェアを使った解析が行われています．本稿では，発振回路の一つであるリング·オシレータを例に，グラウンドと信号配線の影響をフリーの電子回路シミュレータLTspiceで調べます．図1は，グラウンド配線を組み込んでシミュレーションしたところです．図2の理想のグラウンドを使ったときのシミュレーションに比べて波形が大きく乱れています．プリント基板試作前に配線パターンのシミュレーションを実行することで，設計値に対して，どの程度のずれが起こるのか，どのような配線に気をつける必要があるのかなどを調べることができます．0円ツールであっても，設計指針を得て，実機へのフィードバックに役立てることができます．