ビットエラーレートを用いた電子機器からの放射妨害波がディジタルTV信号に与える影響

摘要

電子機器から発生する妨害波がTV放送等の受信環境に与える影響が問題になり規制が実施されている．しかし，この規制値や評価法はアナログ放送への影響に対して定められたものであり，本格放送開始が直前に迫っているディジタルTV放送に対してこの評価法が妥当であるか検討する必要がある．本報告では，PC，インバータ，マイコン等から放射される妨害波とディジタルTV信号がうける影響を検討している．まず，電子機器からの妨害波をTV受信機より広い帯域を持ら受信機で測定し，フーリエ変換（DFT）を用いて，TV信号の帯域と同じ帯域を持つ妨害波を抽出した．そして，その結果を用いて，任意波形発生器で妨害波を作成した．次に，この作成した妨害波およびTV信号のQP，APD，平均電力を求め，これらと，映像品質とビット誤り率（BER）との関係を評価している．映像品質の評価にはMOS（Mean Opinion Score）を使用，し，BERの測定には，この測定機能を有するTV信号受信機を使用した．検討の結果，広帯域の妨害波を印加したときのほうが狭帯域の妨害波を印加したときより映像品質に影響を与えやすく，平均電力による評価が妨害波の種類による変化が小さいことがわかった．また，MOS値とBERの値には相関性があり，BERの値より，ある程度MOS値の推定が可能であることがわかった．