アルミニウム押出ビレット表層の変形挙動に及ぼす押出方法およびダイス形状の影響

摘要

本研究では，押出におけるビレット表層の材料流動を調べるため，クラッドビレットを用いた実験および有限要素解析を実施し，以下の結果が明らかになった。(1) 2オブジェクトを用いた有限要素解析により，ビレット表層の材料流動を表現できた。皮材は，間接押出では前方からダイス出口に流出し，直接押出では後端面に堆積した後ダイス出口に向かう変化を明らかにできた。(2)さらに，流速分布よりデッドメタル，流動およびせん断の各領域を定量的に明らかにすることができた。(3)直接押出にて，ダイス半角70°，90°，110°の申で70°のダイスを用いると皮材の流出を抑制できた。押出における押残り厚さの決定は品質確保および歩留まり向上に重要であるが，ビレット外周偏析層の厚さ，ビレット後端面の潤滑状態，ビレット長さなどに影響されると予想され，一律に決定できない.しかし，実験で最適値を求めるには多くの工数を要する。今後，数値解析にて材料流動をあらかじめ予測し，その上で実験により検証すれば，最適値を効率よく求められる。これによって押出技術の向上に役立つと考える。