1050アルミニウム板のNCサーボプレスを用いた振動深絞り加工としごき加工

摘要

大型の板金加工用NCサーボプレスの有する低周波振動モーションにより，慣用金型による深絞り加工としごき加工を行い，低周波振動加工の有効性を実験的に調査検討した。 以下に，これら実験研究により得られた結果をまとめる。 （1）NCサーボプレスで設定可能な低周波振動を負荷した振動深絞り加工においても，ダイのみに超音波振動を負荷した場合と同様に，慣用深絞り加工に対するLDRの顕著な向上は認められなかった。 （2）低周波振動を負荷した深絞り加工は，成形品に発生するしわの発生防止効果が高いことが判明し，小さなしわ抑え力でもしわ発生のない成形品が得られるようになることから，結果的に成形限界が向上できることが明らかになった。 （3）振動深絞りにおいては，Dd≧4.0mmの比較的大きな下降移動量Ddを設定し，この値よりやや小さな比較的大きな上昇移動量Adを設定することで効果的にしわの発生を抑制できることが明らかになった。 （4）低周波振動を負荷したしごき加工を行うと，慣用しごきに比べ，10％以上の限界しごき率の向上が認められた。 （5）振動しごき加工においては，下降移動量をDd≦0.3mmと小さくし，上昇移動量もAd≦0.01mmと小さく設定することが，限界しごき率の向上や表面不良発生防止に効果的であることが判明した。最後に，本実験にご協力いただいた，日本工業大学卒研生の金丸清威，佐々木教行，渡邉聡志の諸君に深く感謝する。 さらに，本研究の実施にあたり，サーボプレスを貸与いただきました（株）アマダプレステック，および本研究に対し御助成を賜った（財）天田金属加工機械技術振興財団に厚く御礼申し上げる。