蒸気コーティング法によるマグネシウム合金上への耐食性皮膜の作製

摘要

マグネシウムは実用金属中で最も軽量であり，比重が1．72と鉄の1／4，アルミニウムの2／3である。さらに人体に無害で，かつ，高比強度，リサイクル性に優れた性質を持つ。そのため，近年，電子機器類の筐体へ適用されている。さらに，省エネルギーなどの環境負荷低減の観点から，軽量性を活かすことのできる輸送機器分野を中心にマグネシウム合金材料の適用が急速に拡大している。しかし，マグネシウム合金は，実用金属の中で最も卑な電位を熱力学的に有しているため，実環境中で腐食しやすい。、そのため，耐食性を改善するための表面処理が不可欠であり，陽極酸化処理や化成処理等が用いられている。陽極酸化処理や化成処理では，使用する俗にふっ化物や重金属であるクロム酸やマンガン酸塩を含んでおり，環境負荷が高い。また，これらのプロセスでは，多段階の前処理が必要であり，コスト増に繋がる。このため，低環境負荷型で低コストの新規表面処理の開発が強く望まれている。