蒸気コーティング法によるマグネシウム合金上への耐食性皮膜の作製とその耐食性評価

摘要

マグネシウム合金は実用金属中において最軽量で、自動車を中心とした輸送機器産業での車体の軽量化により、省エネルギーに寄与する材料として適用が拡大している。一方で、標準電極電位が最も卑な金属であり、化学的に活性で容易に腐食する。よって、表面処理が不可欠である。既存の陽極酸化や化成処理等で使用される処理液には、人体及び環境に窓影響を与えるクロム酸やフッ化物が利用され、環境保全の面でクロムフリーな処理が望まれている。この観点から、我々は、水蒸気を用いた蒸気コーティング法を開発した。このプロセスで形成した皮膜は水酸化マグネシウムとMg-Al糸屑状復水酸化物（LDH：Layered Double Hydroxide）から構成され、LDHはアニオン交換能を有し、耐食性の向上に寄与する。本研究では、硝酸アルミニウム水溶液を蒸発源に用い、水酸化マグネシウムとMg-Al系LDHからなる皮膜を形成させ、その耐食性を評価した。