地熱発電用ミストセパレータにおける流動特性と液滴捕集効率の検討

摘要

地熱発電所で実際に用いられる遠心力を利用した2重円筒型ミストセパレータについて，蒸気の流動と液滴の捕集性能との関係をシミュレーションによって検討した．装置下部に接線方向に供給された蒸気は，装置内を回転しながら上昇し，塔頂近くに開口部がある内筒に入り込み，下向きに排出されてタービンに至る．蒸気の中の液滴は回転に基づく遠心力によって外壁に向かって移動し，壁面に衝突して捕集される．内筒の直径は1m，外筒の直径は3m，気液の供給管の直径は0.8mである．供給管の高さ位置から排出管の入口までの距離（分離高H）は3.4，13.4mとした．気体は0.79MPaの飽和蒸気であり，22m/sの速度で接線方向に送入されるとした．H＝3.4mのとき，捕集可能な液滴直径は20－30μmである．Hを高くすると蒸気の回転運動が安定化し，蒸気は上昇するに従って回転半径を小さくしながら内筒に入る．この内側に向かう流れで遠心力の効果が弱められ，H＝13.4mの場合でも捕集可能な液滴径は50－60μmにとどまる．2重円筒型の場合，流れの安定性と捕集効率の関係から，H＝7－8mとするのが妥当と思われる．