軸流圧縮機におけるサージ·旋回失速共存系の非定常挙動

摘要

軸流圧縮機の下流側に容積タンクと衝撃波管を接続した過渡現象試験装置を用いて、圧縮機動翼列内に発生する旋回失速とサージングの非定常挙動を調査した。特に、旋回失速とサージングの共存状態における内部流れ場の把握に焦点を当て、サージサイクルの非定常的な変動が、失速セルの構造や個数、強さに大きく依存していることを示した。圧縮機の非定常現象は、定常的に決定される系の性能曲線の傾きやB値のみならず、翼のスタッガ角や動作点の変え方などにも依存して複雑な挙動を示す。これは、性能曲線上の右下がり安定領域で定常的に運転されていても、突然の背圧上昇やガストの流入、入口不均一流れなどにより旋回失速のみならずサージングまで発生する可能性を示唆するものである。筆者らの実験結果では、性能曲線の二次微係数や、流量係数·圧力上昇係数の時間的変化割合が非定常現象の発生や成長に大きく影響するという結果も得られており、未だに不明な点が数多く残されている。今後はさらに詳細な計測技術や高性能CFDの援用により、これらの現象が解明されていくことを期待している。