海洋保全のための有機·無機ナノ複合材料を開発―精密設計ナノ高分子綱目によるマリンバイオテクノロジー

摘要

ムラサキイガイやフジツボなどの船底などに付着する海洋生物を駆除するため，これまで有機スズ（TBT）を含む防汚塗料が用いられてきた。 しかし，海水中に溶出したTBTは環境ホルモンの疑いが持たれているため，世界的に使用禁止の動向にある。相互侵入高分子網目（IPN）は，網目状高分子マトリックスに異種の高分子をナノレベルで複合化したものである。 筆者らはこの手法を用い，海洋付着生物に対する付着忌避活性を持つ非溶出型の防汚塗料の研究開発を行っている。