2K－ポリウレタン塗料における重回帰解析手法の応用－アクリルポリオール特性と塗膜物性の関係－

摘要

筆者等は、2K－ポリウレタン塗料の主剤として多くの用途で使用されているアクリルポリオールが塗膜物性に及ぼす影響を先報で報告した。本報では先報のデータをベースに多変量解析手法の一つである重回帰解析により、ポリオール特性と塗膜物性の関連を計算した事例を報告する。1）乾燥性および初期乾燥段階の硬度には、ポリオールのガラス転移温度（Tg）が大きく寄与し、ついで酸価の寄与が大きい。2）硬度および耐候性には、ポリオールTgおよび水酸基価（OH価）が影響を及ぼしている。 3）塗膜の耐擦り傷性は、OH価の高い方が、またポリオールTgが低いほうが良好な傾向を示す。 各塗膜物性に関して重回帰解析から回帰式を求め、これらの式からポリオール特性に応じた塗膜物性の予測値が計算できる。 言い換えれば、要求する塗膜物性に対するポリオールの基本設計が可能となる。