慣性フィルターサンプラーを用いた大気中超微小粒子揃集時における有機ガス吸着量の評価

摘要

われわれの身近な大気環境にはさまざまな大きさの粒子状物質が存在し，その有害性が懸念されている。特に，粒径が0．1μm以下の超微小粒子（Ultrafine particle；UFP）は，強い生体影響を示す可能性が指摘されており，動物実験では下気道の炎症反応を強く起こすことが実証されている（Oberdorster et al．，2000）。UFPの主な発生源は自動車排ガスであると言われており，特にディーゼルエンジンからは，粒径が0．01～0．03μmの核モード粒子が高濃度に排出される（Kittelson，1998）。よって，道路近傍ではこれらUFPが高濃度で観測されるが，100mほど離れたバックグラウンド地点では個数濃度が半分以下になることが報告されており（Fusbimi et al．，2008；Fujitani et al．，2012；Kittelson et al．，2004），これは粒子の拡散沈着や凝集，さらには揮発影響などによるものと考えられるが，UFPの大気中挙動については未解明な部分も多い。