石灰を原料とした左官材によるシックハウス対策

摘要

平成17年の建築基準法改正の目玉となったのがシックハウス症候群への対応であったが、シックハウス症候群が問題化したのは、それよりもはるかに前の話であった。 今、数多くの合成系の「シックハウス対応壁材」が様々な樹脂壁材メーカーから発売されているが、その一方で、石灰を原料とした「シックハウス対応壁材」については、そのほとんどが、モシックハウス症候群が問題化する以前に開発されたもの、あるいは、その改良品である点が注目される。 つまり、紀元前からの古い歴史をある「由緒正しき建材」である石灰系左官材というのは、もともとシックハウスとは無縁な存在だったと言って良いかもしれない。 だから、そういう意味では合成系建材に比べてシックハウス対応製品にするための苦労や工夫といったものはあまりないかもしれない。しかし、それとは別の次元で、新製品開発の際には、自然素材であるが故の欠点の克服に腐心しなければならなかった。 もともと「シックハウス対応壁材」として開発したわけではないが、ここではタナクリームを例にしてお話をしたい。