天然糊材の歴史と物性

摘要

昭和35年ごろから、MC（メチルセルロース）の販売により、漆喰にMCが多く用いられてきている。 これらの原因は、角叉糊材の煮出しに手間がかかることにあるが、さらにMCが白色で安価であることも大きな原因であった。角叉糊材は消石灰20kgに対して0．5～0．8kgも必要とし、MCは約1/5ですむ。 その後、残念なことに漆喰工事が減少し、繊維壁時代となり一時期、需要は皆無に近くなったが、最近は塗り仕上げの見直しで漆喰が注目を集め、その需要が伸びてきた。現在の30、40代の左官技能者には漆喰仕上げを経験しないで、現在その対応に苦慮していることもある。 仕事のないことが、技術を失う一例かもしれないが、現在、（社）日本左官業組合連合会の「伝統工法及び現代工法継承研修会」はじめ、各地での講習会でその難をのがれつつある。 最近の漆喰について多くの左官諸氏の官能評価は、角叉糊材の押さえ時で仕上げ精度がMCと比較して『優る』ということである。 これも、角叉糊材がゼラチン状になるがゆえのことであると思われる。