自動車のマルチマテリアル化と異材接合技術の実態－かしめ·嵌合技術の復活と発展

摘要

現在，世界の自動車メーカーは車体軽量化の技術開発とその実用化に危機感を持って迫られている。その理由は，地球環境保護対策としての炭酸ガス排出量抑制を目的とした燃費規制が各国で益々厳しく強化される一方，自動車事故に対する安全強化コンピュータ化進展，EVやハイブリッド車に必要な電池の搭載などでむしろ車重が重くなっていくという相反性の環境に置かれており，これらの課題を両立するための策として位置づけられていることによる（図1）。例えば，米国では自動車メーカーごとに製造される車の平均燃費を規制するCAFE（Corporate Average Fuel Economy）基準において，2017年から毎年5%ずつ規制値を高め，2025年には現在の12km／lを約2倍の23km／lと大幅に引き上げるとされている。この規制をクリアするためには，車体重量の重いサルーンカーやピックアップトラックといった高い価格帯にある高級車の燃費改善が重要になる（図2）。