海洋音響技術の最近の動き：水中音波による海域火山活動監視の試み

摘要

海洋情報部では、海上安全·防災のため、船艇·航空機による海域火山（火山島·海底火山）調査を行っている。その契機となったのは、昭和27年（1952年）9月24日の明神礁の海底火山爆発により、旧水路部の測量船「第五海洋丸」が巻き込まれ、遭難し、31名の殉職者を出した事件である（小坂、1991）。 この明神礁の事例では、その海底火山爆発による水中音が、SOFAR (Sound Fix And Ranging)チャンネルを長距離伝播し、アメリカのSOSUS (Sound Surveillance System)のハイドロフォンに受信され、海域火山活動監視には火山活動に伴い励起される水中音波(T-Phase)観測が効果的であることが示された。特に、遠洋における海底火山活動等の小規模なイベントの検出には、SOFARチャンネルを伝播する水中音波の観測が非常に有効である（例えば、Fox, et al., 2001）。 本稿では、海洋情報部におけるこの水中音波を用いた海域火山活動監視の試みを紹介する。