原油70ドル台に打つ手はあるのか

摘要

4月17日に世界の指標原油であるWTIがついに70ドル／バーレルを突破した。 昨年8月30日，ハリケーン·カトリーナ来襲の折にWTIは時間外取引で70.85ドルに付けたが，その後はずっと70ドルを下回る価格で推移していた。昨年11月半ばには56ドルまで下げていたし，今年2月半ばにも57ドル／バーレル台に下げていたこともある。 ところが，3月半ば過ぎから今日に続く急騰局面が始まった。 3月20日60.42ドルだったが10日後の30日には67.15ドル，4月10日には68.74ドルとなり，13日69.32ドルとなった後，17日70ドルを突破した。 しかし，心理的高値抵抗線といわれていた70ドルを超えると，その後は連日の最高値更新，21日には75.15ドルにまで上昇した。 WTIがここまで短期間に急騰するとは，ほとんど根拠のない「風説の類」を別とすれば，明らかに予想外のことだった。 4月11日に米国エネルギー情報局（EIA）が発表した"Short-Term Energy Outlook，April 2006"（エネルギー短観）では，「第2四半期のWTI（スポット）価格は66.83ドル」と予測していたほど。 なぜ原油市況は75ドルにも急騰したのであろうか。 この要因を探るとともに，28日にブッシュ米大統領が発表した「原油·ガソリン価格急騰に関する対策」を検証していくこととしよう。