2011年も激変する石油市場躍進続く新興国と縮梯する田本

摘要

リーマンショックに象徴される金融危機勃発から2年以上が過ぎた。大打撃を受けた先進諸国の経済は立ち直るきっかけを見出すどころか，昨年はEUでギリシャの財政危機が発覚し，ソブリンリスク発生という新たな危機を招いている。経済の停滞が続く“第二の日本”になるのを避けたい先進諸国はデフレ回避をもくろんで通貨切り下げ競争を繰り広げている有り様で，本格的な経済回復には程遠い状況だ。一方，BRICsをはじめとする新興諸国は旺盛な内需の支えもあって経済危機を乗り越え，一段と存在感を強めている。中国のGDPは予想より早く2010年には日本を追い抜いて米国に次いで世界第2位となったようで，中国やインドをはじめとする新興諸国が世界経済を牽引するという構図は一段と強まっている。低炭素社会へ向けた動きも強まっている。メキシコ·カンクンでのCOP16は京都議定書が2012年に期限切れとなった後の新たな枠組み作りを先送りしたが，2011年未開催の南ア·ダーバンでのCOP17では米中も参加する最終決着に再挑戦する。中国も2011年からの第12次5カ年計画では大規模な環境投資を画策しており，そうなると新エネルギー導入やEVをはじめとする電気へのシフトが世界規模で加速しそうだ。今年も世界エネルギー地図は“中国”と“電化”の二つをキーワードに塗り替えが進みそうだが，日本の石油産業は一段と縮小が進む気配だ。