中東スポット53ガトン放出でも上昇じたLPガス極東·アジア市場

摘要

サウジアラムコ社は8月31日，わが国の輸入関係各社に対して，LPガスの9月CPをプロパン630ドル，ブタン650ドルとした旨，通知してきた。CPは1月のプロパン740ドル·ブタン735ドルから8月まで7カ月連続の下げ（5月は横ばい）となっていたが，9月はとうとうプロパン·ブタンともに前月比55ドルの大幅な上げとなった。引き続き20ドルの「プロパン安·ブタン高」となっている。7～8月の国際LPガス市場は，6月までの「極東高·スエズ以西安」による大量アービトラージカーゴの極東流入によって一変，特に8月は「北西ヨーロッパ（NWE）独歩高·極東安」となった。この背景には，5月までとは打って変わった極東の猛暑があったことはいうまでもない。日本がその典型例。6月までの大量輸入で在庫が積み上がったが，今度は7～8月の連日の暑さ。北から南まで35℃を超えるのだから，水温の上昇も大幅。これではLPガス需要が1割減となるのも道理だ（別稿参照）。韓国，中国もまた同じ。しかし，本来なら輸入需要が大幅に減退して市況が下がり，CPも続落となっても不思議はなかったのだが。しかも，中東産ガス国からは，8月もどんどん余剰カーゴが溢れ出てきたにもかかわらず，なぜ下がらないのか！？。そう思われた読者も多いだろう。ここはサウジアラムコを悪者にしておけば，一件落着となるのだろうが，そんな単純なものではない。9月CP上げを導いた8月市場をキチンと分析する必要があるだろう。