民主党政権下の「エネ基本計画」都市ガスは安全圏に残ったが…

摘要

本誌でも再三指摘してきたように素人同然だった鳩山民主党政権が退陣し，菅新政権に切り替わった。当然といえば当然の交替で，何のために存在していたのかまったく理解に苦しむ前政権だったが，この愚かなポピュリズム（大衆迎合）政権がこの9カ月間に残した負の遺産はあまりに大きい。とりわけ昨年9月の就任時にいきなり「日本のCO2排出量を2020年に90年比25％削減する」と国際公約を行ったことは狂気としか思われない行為だった。コストも何も考えない，口当たりのいい公約を独断的に決めた素人丸出しの政策だったからだ。その他の政策も含め財源やコストなど何も考えない無能さ丸出しの政権だったが，その前政権の負の遺産の反映としてこのほど「エネルギー基本計画」の改訂案がまとめられた。当該政権が倒れた直後にその具体策がまとめられるとほいかにも皮肉だが，否応なしにわが国のエネルギー政策は当面この計画に基づき推し進められることになる。当然，原子力や太陽光発電などの導入が中心で，石油の消費は大幅に削減されていくことになった。ただ，石油と同じ化石燃料のLNG（天然ガス）については2030年段階で現在より使用量は減少するものの，その中の都市ガス分は若干右肩上がりの見通しで，LNGの減少は主に電力での使用減で対応していく予定。一年前には全く考えられなかった前代未聞のエネルギー政策が今後推し進められようとしているわけだが，当然今回の計画が永久不変というわけではない。政権が変われば当然修正は考えられし，現に鳩山政権から切り替わった菅新政権はCO2削減に膨大なコストがかかることに気がついたのか参議院選挙向けのマニフェストで地球温暖化対策を前面に出す土とを控えている。それにしても迷走するこの愚かな政党をどうするのか，7月11日投票の参議院選挙は様々な面でこれまでにない重大な意味を持っている。