原油とLNGの8月値上がりで調整値下げ続くが下げ幅は縮む

摘要

8月分の円建て輸入燃料価格が判明した9月29日，電力10社は11月検針分の電気料金に適用する燃料費調整単価などを算出，発表した。新燃料費調整制度では調整単価が毎月見直される。今回は新制度で7回目の適用。前提に置いた燃料の輸入通関時期は3カ月移動平均の6～8月。前10月検針用は5～7月だった。制度改革で輸入価格の反映が旧制度より平均2カ月早くなった。その6～8月通関の燃料価格は，前5～7月に比べ石炭で2.6％続落した一方，原油が7.3％続騰したはか，LNGも0.7％の小幅だが値上がりに転じた。このため，各社の平均燃料価格は前期に対し10社とも値上がりする。ただし，その幅は800円／klの北海道と東京を除くと100円（中部，九州）から500円（東北）の比較的小幅なもの。このため，調整値下げ幅の縮小によって11月料金は値上がりするが，その幅も16銭／kWhの東京と13銭の北海道を除くと，1銭から8銭の小幅で済む。そのため，11月料金は引き続き改定時の単価から大幅安の状態が維持される。その効果は単価の小さい特別高圧料金で顕著に現れている。11月の特高料金を改定時と比較すると，北海道87.6％，東北87.2％，東京75.4％，中部90.3％，北陸97.9％，関西89.0％，中国88.2％，四国93.6％，九州91.7％，沖縄88.3％となり，中部と北陸，四国，九州を除いた6社では二桁の値下がり効果が続いている。翌12月の燃調は7～9月価格から算出するが，入れ替わる6月と9月の価格を比較すると，石炭には小幅安が予想されるものの，原油とLNGは値上がりが確実なため，今回と同様，燃料費調整単価の値下げ幅が縮小，12月料金は11月より高くなりそうだ。