2008年内外石油情勢の回顧

摘要

今年もあと10日ばかりを残すところとなったが，今年ほど原油市況が激しく動いた年はないだろうというのが振り返ってみての第一印象。新年をほぼ100ドル／バーレルでスタートしたWTIは夏場までは史上最高値を更新し続け，7月初めには150ドル／バーレルに迫った。 このまま上昇し200ドル／バーレルの超高値原油が出現するかともいわれたが，夏を境に事態は一転，WTIは急降下した。 これは世界経済の悪化に伴うエネルギー需要の減退観測が日に日に強まったことによるものだが，EIA，IEAが毎月の報告において石油需要の伸びを下方修正するたび，WTIは10ドル，20ドルと下がり続け，気がつくと足下40ドル／バーレル前半まで下落している。 世界の石油需要が25年ぶりにマイナスといわれるなか，OPECは市況下げ止まりを図るため，かなりインパクトのある追加減産を決定しなければならない状況に追い込まれている。 一方，国内においても需要不振が深刻となっている。 今上期の石油製品需要は9,679万klで前年同期比4.9％のマイナスに終わった。 上期としては3年連続のマイナスで，平成元年度以来19年ぶりに1億klの大台を割り込んでいる。 ガソリンが3,000万klを割り込み，前年同期比4.7％減となったのをはじめ，ジェット，C重油以外は軒並み減少。 特に，8月以降は3カ月連続して二桁減少となっている。 折しも，新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合で合意したが，石油需要の頭打ちがはっきりするなか，今回の統合をきっかけに今後石油業界の再編が進むとみる向きが多い。 国内外ともに激しく動いた今年1年間を海外の動向から簡単に振り返ってみたい。