4電力9基の原発に軽産省の行政処分定期検査のほかに特別検査が必要に

摘要

経済産業省は4月20日，電力12社から提出された総点検報告などを厳しく精査し評価した結果，データ改ざんや隠蔽の再発を防止する観点から，行政処分を含んだ今後の対応策をまとめ公表した。電力会社が過去に犯した水力発電用ダムのデータ改ざんが発覚，電力12社に対し甘利経済産業大臣が発電設備の総点検を指示したのが昨年11月30日。 総点検は，①過去の不正記録を改ざんし続けていくという悪循環を断ち切ること，②不正を許さない仕組みを構築すること，③事故やトラブルの情報を共有し，再発防止に活かすこと，④こうした活動を着実に進めることで電力会社の体質を改善すること，という4つの狙いから，大臣が「事実を隠さず出すように」と指示したことで実行された。 総点検によって，北陸電力が志賀1号原発で発生した臨界事故を隠蔽していたことが発覚，回復途上にある原子力発電所の安定運転に暗雲が漂い始めた。 臨界状態は原子炉の制御棒が引き抜けることで発生するトラブルだが，原子炉の構造上，BWR（沸騰水型）で起こり，PWR（加圧水型）では起こらない。 注目された原子力で4電力の9基に行政処分が下りた。 9基のうち8基をBWRが占め，また制御棒引き抜け関係以外の不正が7基もあった。 9基には定期検査とは別に時間をかけた特別検査が課せられた。 平成14年（2002）に福島第一1号横で発覚した格納容器漏洩率検査の捏造では，東京電力に1年間の運転停止処分が課せられたが，今回はそうした運転停止処分は免れた。 しかし，特別検査の実施によって発電時間の短縮を余儀なくされるプラントが出てくる可能性がありそうだ。