建築構造用クロム系ステンレス鋼およびステンレス鉄筋の開発

摘要

クロム（Cr）を10．5％以上含有するステンレス鋼は耐食性に優れた鉄鋼材料として、身近な台所用品から家電製品、屋根·内装部品、鉄道車両、原子力プラントに至るまで広範囲に使用されている。合金成分およびその含有量から多種類のステンレス鋼が規格化され、耐食性確保に必要なCrの他にニッケル（Ni）を8％以上添加し、加工性、溶接性等を改善したニッケル系ステンレス鋼のSUS304が代表鋼種である。 ステンレス鋼をプラント類の特殊構造物だけではなく、一般的な建築構造物にも普及させるため平成12年にはニッケル系ステンレス鋼4鋼種が建築構造用としてJIS規格化され、ステンレス構造建築協会を中心に設計施工指針等の整備も進められてきた。 ニッケル系ステンレス鋼は耐食性、加工性、溶接性など構造用鋼として必要な特性を十分備えているもの、構造用炭素鋼あるいは亜鉛めっき鋼との価格差が大きいため、外観デザイン上、金属光沢を前面に出す建築部材への適用に限られ、高耐久構造用鋼材としての普及は進んでいない。