「目からウロコの日本経済論」--金融政策は魔発法の杖か

摘要

本書が出版された2000年は、ある程度景気の回復がみられ、8月には一年半もの間続いた「ゼロ金利政策」が解除された。 ちょうどこの頃まで日本銀行で調査統計局長を務めていた著者による本書は、日本経済の金融·財政政策を考える上で大変参考にをるものである。例えば「ゼロ金利」は著者の喩えによると自動車道転のローギアならぬ未知の「ウルトラ·ローギア」であり、そのような状態で走り続けるといかなる故障が起こるか誰にも分からをい。 車の速度に応じてローギアに戻ずことはオーソドックスな考えである、というものである。 他にも「金融政策」とな「民間部門が保有しでいる金融資産を現金に換える」政策であり、「財政政策」とは「民間部門に現金を配る政策」であるといった説明なども、まさに目からウロコが落ちる簡潔で的を得た素晴らしいものである。 なお本書刊行後2000年年末にはアメリカでITバブルがはじけ、日本でも景気後退色が強まり、2001年2月には再び金融緩和策へと戻り、その後も誘導目標を金利から量的指標へ変更するなどの緩和が続いている。