通常走行における高齢ドライバの運転特性に関する研究－その1：市街地の実車走行による運転行動の調査

摘要

人口構成の高齢化を背景として，高齢ドライバが事故に関与する割合が増加しつつある．とくに高齢ドライバでは，交差点での出合頭事故が多いことが指摘されている．我が国の人口構成高齢化は今後も着実に進行し，65歳以上人口は2000年時点の約17％から2050年には約32％に増加すると推計されており，高齢ドライバの安全確保の重要性は今後更に高まると予想される．自動車による交通事故の発生は，図1に示す過程をとると推定される．通常の運転場面において，ドライバの運転行動が適切であれば，問題なく通常の運転場面が継続する（図中①．しかし，何らかの不適切な運転行動がある場合には，危険が顕在化する(②)．ただし，この段階でドライバが適切に危険を回避できれば，再び通常の運転場面へ復帰することができる(③)．事故に至るケースとは，ドライバの通常走行時の特性と緊急回避時の特性がともに不適切であった場合に相当すると考えられる(④)．