ヨウ素処理をしたバクテリアセルロース由来のカーボンナノファイバーで強化した炭素複合材料の摩耗特性

摘要

本研究では，バクテリアセルロース由来のカーボンナノファイバーより炭素繊維強化炭素複合材料を作製し，その摩耗特性を調査した。また，バクテリアセルロースにヨウ素処理を施し炭素化したカーボンナノファイバーより作製した複合材料の摩耗特性を比較検討した。ヨウ素処理によりバクテリアセルロースの炭素化収率が劇的に向上し，カーボンナノファイバー同士の融着が防がれた。バクテリアセルロースを炭素化したカーボンナノファイバーを用いてカーボンナノファイバー強化炭素複合材料を作製することで，直接含投法で問題となりうる気孔の発生が抑制された。ヨウ素処理バクテリアセルロースを炭素化したカーボンナノファイバーより作製したカーボンナノファイバー強化炭素複合材料は，今回作製した他の複合材料よりも耐摩耗性が向上するとともに，直接含浸法で作製された複合材料よりも耐摩耗性が向上した。このとき，複合材料に組み込まれるファイバーの形態や密着性が耐摩耗性の向上に寄与していることが示唆された。