機械要素の表面性状と性能：各種仕上げ法により創製された加工面の特性と機械性能

摘要

軸受部品などに代表される高負荷のもとで高性能を要求される精密機能機械部品において，その材料そのものの特性の重要性に加えて，表面品位·性状の製品機能に及ぼす影響が非常に大きいことは一般によく知られている．その表面品位·性状は各種仕上げ法によって特徴づけられる．したがって，製品の適用·用途に応じ，かつ経済的な検討と合わせて最終仕上げ工程の選択がなされる場合が多い．ここでは著者の極めて限られた分野と経験の中で，各種仕上げ加工法でつくられた表面品位·性状の特性の検討例を示しながら，その性能への影響についていくつかの知見を述べてみたい．また，表面のトポグラフィの検討に加えて，その残留応力分布状態が製品性能を決める主要な因子となる例についても述べてみたい．部品材料そのものの組織構造，清浄度は機械性能を決定する極めて重要な因子となるが，この分野における研究資料は多くあるのでここでは触れないことにする．