補聴器を利用する高齢者の「聞こえ」の実情と音環境

摘要

筆者は日頃補聴器を使用する高齢者の方々に接する業務に携わっている。その中で，高齢者が抱えている「聞こえ」の問題が個人の問題を超えて，実は重大な社会問題であることを痛感している。 そして，そのことに関して一般的に十分な理解が得られていないことに驚かざるを得ない。 本稿において，高齢者が抱えている「聞こえ」が本人にとって極めて深刻な問題であるばかりか，高齢者の自立的社会生活にとって大きな障害となっていることを示し，合わせて音環境の問題点に言及しつつ「聞こえ」のバリアフリー化について考察する。