加速器·ビーム科学 第2回 加速器入門

摘要

連載第2回の本稿では，加速器への入門を目指す。 加速器と一口に言っても，そのサイズには山手線の周長を有する大型加速器LEP（現在，LHCへの改造工事が進行中）からテーブルトップ加速器まで幅がある。 そこに加速されるビーム粒子として，電子，陽電子，陽子，反陽子，多価重イオンは一般的に用いられ，さらに2次ビームとして生成されるπ中間子，K中間子，ミューオン等の様々な不安定素粒子や放射光としての光子など登場するビーム種も多様である。 これらのどームが活躍する場は，素粒子·原子核の探求を始め，分子·結晶の構造や機能の探求，医療から工業生産の現場まで，さらに加速器やど一ム自身の新奇さを追求する研究室‥．，と多岐にわたる分野に広がっている。個々の分野内では，それぞれ目的に応じた特徴ある加速器への分化が進み，加速器科学の全体はフラクタルな性格を有した豊穣な構造を成している。 今後の加速器科学の進展に際しては/個々の専門分野内で知識が蛸壷化するばかりではなく，共通の言葉で語ることで，分野の壁を越えた幅広い加速器の文化が創られてゆくことが望まれる。