屋外での騒音伝搬

摘要

騒音の減衰において距離減衰は基本的なものである。 騒音源と居住区域が近接している日本ではこの距離減衰による騒音の減衰を稼げないのが問題だと，よくいわれる。 ただ，この距離減衰もある程度の距離では意味があるが，長距離伝搬になれば大きな効果を期待できない。笑い話ではあるが，例えば内之浦のロケット発射台から1 km離れた場所で120 dBの騒音であったとしよう。 逆二乗側で計算すれば福岡近くの256 kmでは72 dB，大阪近くの512 km離れても66 dB，東京に近い1,024 kmでやっと半分の60 dBとなる。 東京でも内之浦のロケット発射音が聞こえるよ，という話。 このように長距離伝搬においては距離減衰を基本としながらも，空気吸収による減衰，温度勾配，風速勾配や風向などの気象条件，加えて地表面の音響的性状が大きく影響を及ぼす。 これらの中でも温度勾配，風速勾配や風向は時間変動が大きく，また温度に大きく依存する空気吸収による減衰も時間依存が大きい。 従って，音源近傍では定常的な騒音でも長距離離れた地点では変動騒音になる。