山岳トンネル用スロット削孔機による水力発電所改修工法

摘要

水力発電所の改修工事では、複数台ある水車·発電機の一部を運転しながら、順次、新しい水車·発電機等に取替える工程で工事が行われることが多い。 このような工事では、運転中の発電機と関連機器に対して振動および粉じんの影響を与えないよう施工することが要請される。 通常は、基礎コンクリートの周囲を、コアドリルによる連続穿孔、あるいは静的破砕剤や油圧くさびの使用による縁切り施工後に、油圧ブレーカでコンクリートを破砕する工法が採用されている。しかし、振動および粉じんの規制値がさらに厳しい条件下では、この工法の適用が困難となる場合もある。そこで筆者等は、山岳トンネルの低振動·低騒音掘削工法として実績の多いSD工法に用いるスロット削孔機とワイヤーソーを併用して基礎コンクリートをブロック状に分割し、ブロックのままクレーンで吊上げ、搬出する解体方法を開発した。 本工法は2件の水力発電所の改修工事で採用された。その結果、従来工法と比べて振動、粉じんの大幅な低減と工期の短縮が可能となったので、工法の概要と施工結果を報告する。