自脱型コンバインの安全鑑定と安全装備

摘要

自脱型コンバイン（以下，コンバイン）は日本の穀物収穫機械を代表する機械である。 その安全状況について俯瞰してみると，まず，死亡事故は少なく，特に他の農業機械では多い転落転倒や道路走行中の事故が少ないことが挙げられる。その反面，手指を中心とした負傷事故は相当に多いとみられている。その背景には，手こぎ作業など可動部に接近して行う作業の存在や，作用部での詰りの除去作業が避けられないことがある。 このような状況下においても事故を防止し，機械の安全性を高めるため，コンバインには安全鑑定基準に基づく各種の安全装備が備えられている。（独）農業·生物系特定産業技術研究機構生物系特定産業技術研究支援センター（以下「生研センター」という）では，平成14年度にコンバインを含む主要農業機械の安全装備と使用実態について，基幹的農業者を対象としたアンケート調査（以下「アンケート」という）を行った。 本報では，その結果の一部を紹介しながら，コンバインの安全鑑定と安全装備について述べる。