交通事故のない社会をめざして：自動車ドライバーのヒューマン·エラーと事故－注意力を視点に

摘要

芳賀はヒューマン·エラーを「人間の決定または行動のうち、本人の意図に反して、人、動物、物、システム、環境の、機能、安全効率、快適性、利益、意図、感情を傷つけたり壊したり妨げたもの」と定義している。 本稿で取り上げたドライバーの運転中に起きる不注意の諸相には、ドライバーの注意力が欠けて、芳賀の言う本人の意図に反して、人や物、環境等を傷つけ、ヒューマン·エラーとなった状況が示されている。 しかし、現実にはドライバーが意図的にアルコールを摂取したままで、あるいは無免許で、または赤信号を無視したり、重大な交通の危険を生じさせる速度で運転するということが、今まで日常茶飯事に行われてきた。 このことについては、とてもヒューマン·エラーという範疇では扱えない部分である。 実際、刑法の一部が改正されて危険運転致死傷罪が設けられた。 ドライバーのヒューマン·エラーについても新しいステージに入ったと考えてよいであろう。