霜結晶成長の制御に関する研究

摘要

低温機器の熱交換器に発生する人工霜は，湿り空気中の水蒸気が境界層内で凝縮または凝固し，冷却面上で霜層を形成する．空気湿度が高く，冷却面表面温度が約-40℃以上の場合，冷却面上には過冷却液滴が生成し，過冷却解消後に霜結晶が成長することが明らかになっている．この着霜現象は熱移動および物質移動の同時移動現象であるとともに，霜結晶が時間とともに成長する非定常現象である．筆者ら[1]は，過冷却液滴の寸法に着目し，数百ミクロンの微細な凹凸面を人工的に冷却面表面に付与することによって冷却面表面性状を変化させ，図1(a)に示すように，冷却面表面上に霜結晶を成長させない領域を実現させることに成功している．現在，霜結晶が付着しない領域は冷却面表面全体の75％に達している．本研究は，これまでの研究をさらに発展させ，冷却面上に霜結晶を成長させないことを目的としている．この目的を達成するために，図1(b)に示すように，過冷却液滴を境界層内で生成させ，霜結晶の成長を冷却面から離れた位置で実現させることを検討する．