時代を超えたエンジニアブルネル父子の挑戦：第6回 構造芸術の端緒,ロイヤルアルバート橋

摘要

都市交通インフラの分野で活躍したブルネル（Isambard Kingdom Brunel，IKB，1806-1859年）は，イギリスにおいて橋や鉄道，トンネル，駅舎，切り通し，船舶，病院などを革新的，かつ挑戦的に手がけたヴィクトリア時代（1837-1901年）のエンジニアである。 彼のエンジニアとしての名声は，このような広い分野において，自身のエンジニアリングについての考えを，合理的な設計を通して実現したことによるものだろう。 保守的と言われるイギリスの人々が彼に惹かれるのは，その天才的，革新的な魅力によるのかもしれない。 また，美的な設計を行ったことも，評価すべき点として挙げられる。今も見られるクリフトン吊り橋の見事な形態はブリストル市の観光名物であり，欠かせないランドスケープとなっている。 同じく橋において，機能と美的要素を取り入れたものにロイヤルアルバート橋がある。今回はロイヤルアルバート橋を「構造芸術」(structural art)の端緒として捉え，紹介する。