スリムラインの性能を生かす剛性計算ソフト

摘要

現在、焼ばめホルダは金型業界では必要不可欠なツールホルダとして定着してきた感がある。 当社の焼ばめホルダ「スリムライン」は多種多様なニーズに応えるため、形状、サイズ、組合せなど豊富なシステムを用意している（写真1参照）。 そのうちスリム型についてはボールエンドミルなどによる深彫り加工のニーズに合わせ、高い接近性を備えたシステムで構成されている。 加工深さが深いほどツールホルダの首下長さと切削工具の突出し量が長くなり、径(D)に対する突出し量(L)が一定値を超した場合にはびびりが発生する（図1参照）。 切削工具を太く、短くすることで切削工具剛性を高めることはできるが、ワーク形状（勾配干渉、加工深さなど）により限界がある。 それに対し、スリムラインは徹底したスリム形状ゆえに、切削工具の突出しを最小限にできる。高い振れ精度と剛性を確保しながら良好な切削ができるので、びびりの発生を抑制できる。 ところが、スリムラインは種類が豊富な半面、どれを使えばよいのかわからず、ユーザーを混乱させてしまうことがある。 選定のミスマッチによりびびりが発生し、スリムラインの特性を発揮できない場合も少なくない。特に困難な加工においては選定に際し、経験（ノウハウ）に頼るしかなく、基準とするべき「ものさし」がないので整合性のとれた選定ができない。 本稿では、このような問題を解決するべく開発された剛性計算ソフトの特徴と利用例について紹介する。 剛性計算ソフトとは、ニーズに応じた最適なスリムラインを選定するのに役立ち、可能な限り剛性を確保した加工を実現することを目的としたツールである。