発話中のうなずきが印象形成に及ぼす影響: 3者間会話場面における非言語行動の果たす役割

摘要

本研究は，3者間会話場面で話題によって非言語行動が会話満足度や印象に与える影響が異なることを探索的に検討し，特に社会的強化としてのうなずきに注目して2者への配分のズレが少ない場合に好印象を獲得するという仮説の検討を目的とした。 大学生48名（男性18名·女性30名）が実験に参加し，ほぼ初対面の同性3名の組で2つの会話（討論条件／親密条件）のいずれかに参加した。 この結果，話題によって表出される非言語行動が会話満足度や印象に与える影響には相違があることが見出された。 うなずきは討論条件で会話満足度や好印象との関連を示したが，笑顔は親密条件で好印象をもたらすが，討論条件では会話満足度を低めてしまうことが見出された。 また，うなずきの応答的側面や配分のズレに関しては予測したほどの効果は得られず，仮説は支持されなかった。 発話内容と非言語行動を対応させたマルチチャネル·アプローチの必要性が示唆された。