セルラネットワークの空間確率モデル－ジニブル点過程を用いた基地局の配置

摘要

最近，空間点過程を用いて無線通信ネットワークの無線ノードの配置をモデル化し，得られた確率モデルの解析を通してネットワークの性能を評価しようという研究が盛んに行われています．こうした無線ネットワークの空間確率モデルの解析では，無線ノードの配置モデルとして定常ポアソン点過程が広く用いられています．確かに定常ポアソン点過程を用いると解析が容易になるのですが，無線ノードが互いに独立に位置していることを仮定してしまっています．一方，実際のセルラネットワークの特にマクロセル基地局を見てみると，それらは互いに独立な位置にあるということはなく，（電波干渉の影響をなるべく受けないように）ある程度の距離をとって設置されています．本稿では，セルラネットワークにおける基地局の配置をジニブル点過程（互いに反発する点の配置を表現できる行列式点過程の1つ）によって表した空間確率モデルを考え，その解析結果を紹介します．また，この基本的な結果が現在どこまで一般化されているのか，筆者の知る範囲で概観してみます．