多様化するシールの最新情報：グランドパッキンにおけるノンアス化の現状

摘要

昨年来，石綿に関する健康被害が大きく取り上げられようになり，社会問題として取り上げられるようになった。 石綿による疾病は潜伏期間が長く，特に毒性の強い青石綿（クロシドライト）や茶石綿（アモサイト）が大量に使われた30年前の影響が出ていると考えられる。 日本国内において，青石綿と茶石綿は1995年4月に全面的に使用が禁止されており，以降主に使用されてきたのは白石綿（クリソタイル）である。 その後石綿に関しての規制としては，2004年10月に労働安全衛生法施行令が改正され，建材，摩擦材，接着剤における石綿の使用及び製造が禁止された。 これにより日本における石綿使用量の95％が規制されたが，代替が困難であったクロスやシール材は規制の対象外であった。 その後，2005年7月には石綿障害予防規制が施行され，建物の解体をはじめとする石綿に関する取り扱いが規定され，同時に代替化に向けた計画的な努力が義務化された。さらに本稿作成中の2006年9月には，一部例外を除き，石綿製品（シール材を含む）の使用禁止が決定している。 グランドパッキンにおいては，バルブメーカーや一部の産業では早くから脱石綿化に向けた取り組みがなされていたが，石綿製品と非石綿製品においては価格帯が異なる等の理由から，多くのユーザーにおいては消極的であった。 現在，脱石綿化に消極的であったユーザーにおいても，取り組みを進めており，脱石綿化の動きが一気に加速している。以下に，グランドパッキンにおける脱石綿化の現状と非石綿製品の選定方法を紹介する。