胸郭出口症候群の診断における内側前腕皮神経の 電気生理学的評価の有効性についての検討

摘要

肩こり，頚肩腕部痛を呈し，多くの症例で尺骨神経（ulnar nerve ： UN)領域のデルマトームにー致したしびれや痛みを訴える胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome ： TOS)の原因として，前斜角筋，中斜角筋および第一肋骨に囲まれた斜 角筋間隙や肋鎖間隙における腕神経叢および鎖骨下動脈の絞扼などが関与している. TOSの 中には頚椎症性脊髄症や絞扼性末梢神経疾患との 鑑別が困難なため，その診断に難渋し見逃される 症例も存在する. TOSは神経型（neurogenic TOS),血管型（vascular TOS)および混合型 (combined TOS)に分類され，それぞれがさらに， 原因不明（disputedTOS)または外傷型（traumatic TOS)に区分される.