マイクロ波の特性を生かした先導的加熱乾燥技術

摘要

日本における電子レンジの世帯普及率は97％（2004年3月現在：全国地球温暖化防止活動推進センター調査）で，世界の中でも高い値を維持している。電波（マイクロ波）による加熱方法は，私たちの生活に欠かせない技術であるが，その発明は全くの偶然から生まれたといわれている。アメリカのレーダー技師が，機械の調整中にポケットの申のピーナッツ·クラスター·バーが溶けたことにヒントを得て，食べ物を温める技術に発展した。この出来事は，たびたびセレンディピティの例として取り上げられ，現在では，このマイクロ波加熱技術を乾燥，殺菌，セラミックスの焼結などにも応用している。　また，電子レンジを家電量販店で安価に購入することができることから，化学反応，環境保全への利用を目的とした基礎研究が盛んに行われ，それらを専門的に行うことができるマイクロ波装置も世界中で販売されている。本稿では，マイクロ波や高周波などの電波を用いた加熱や乾燥の特徴を解説し，さらにその実用例に触れる。