シミュレーション装置によるマッド材の熟間形成組織の模討

摘要

より実炉に近い急加熱条件でのマッド材評価試験の必要性から，シミュレーション装置を用いた熟間充填試験を行った。 種々材質について試験を行った結果，熟間形成組織に関して以下のことが明らかとなった。 （1）バインダー添加量を低減させることによって，揮発分を低減し，大きな亀裂生成を抑制できる。 （2）ピッチの添加は揮発分の絶対量を増加させるため，亀裂生成を促進させる傾向がある。 （3）SiC微粉原料は亀裂の生成を抑制する効果がある。これは，SiC微粉が加熱時にタールを抜け易くする性質を持っているためであると推定される。 マッド材の熟間充填試験において，大きな亀裂がなく，緻密な熟間形成組織によって安定したマッド材の性能がもたらされると考えられ，今後の材料設計を行う上での有益な知見が得られた。