環境変化の指標としての堆積物中の有機物質：アミノ酸·アミノ糖

摘要

AAとHAを用いた指標によってOMの練成作用に関する膨大な量の情報を得ることができる。そのことによって，間接的にAAとHAが生産·堆積した生物化学的過程を認識し，理解することができる。 しかし残念ながら，続成は様々な要因を含む複雑な作用であるため，AA指標のみで定量的に続成作用を補正することは困難である。 そこで，AAとHAのデータを，有機炭素，炭酸塩，オパール，窒素量などと共に利用し，より多くのことを考察できる指標として環境の解明に役立てている。 また，堆積物中のOM組成を知るためのAAに基づいた指標も存在し，現在もその改良や新しい指標の構築のための努力が行われている。 自然界におけるOMは，時と場所によって変化するとても複雑な集合体であり，今後もOMの挙動を明らかにするための新たな指標の開発が必要である。 なお，OMの変化を理解し，海洋を調節する生物化学的な機構を説明するためには，AAの他に脂質，糖質といった有機成分が有用である。