瓦の話（6）南九州の瓦と原料粘土

摘要

南九州の瓦産地と原料粘土の近況について概説した。 近年，南九州においても淡路や石州·三州の瓦の移入が増加し，瓦以外の屋根材が普及したことから，瓦の生産は減少している。 しかし，山之口町や鹿屋市周辺では,地元風土に根ざした耐久性のある瓦の生産も着実に行われている。 また，瓦粘土資源は宮崎平野縁辺部や都城盆地の台地部に豊富に埋蔵されているようであり，日本有数の低品位高可塑性粘土の産地と言えるかも知れない。 今後の調査·有効利用が待たれる。今回の南九州の瓦原料粘土資源の概査にあたっては日置瓦工業協同組合·山口盛男理事長，宮崎県粘土瓦製造協同組合·森正美理事長，（有）榎木瓦工業·榎木智幸氏,（有）宮崎粘土·川崎良国氏には現地で案内いただき，それぞれの粘土資源についてお教えいただいた。 また，宮崎県工業技術センター·日高定憲氏，熊本県工業技術センター·永田正典氏には各県の瓦産業の現状について情報をいただいた。以上の皆様に謝意を表します。