九州大学本部庁舎を構成する煉瓦組積体の力学特性その4 煉瓦組積体のせん断強度とせん断変形能力

摘要

本報告では，本報その2，その3 で述べた煉瓦組積体のせん断実験の結果と，その後に実施したパイロット試験体のせん断実験の結果より，煉瓦組積体のせん断強度とせん断変形能力を調べ，以下の知見が得られた．(1) 試験体がせん断強度に達するときのせん断変形角は二面せん断載荷時に0.09～0.65×10-2 rad.程度，一面せん断載荷時に0.09～0.38×10-2 rad.程度となり，いずれも初期剛性を保持してせん断強度に達する場合の1～5 倍程度となった．(2) 減摩載荷を行った試験体は，減摩せずに載荷した試験体とせん断強度の平均値がほぼ等しく，標準偏差は若干大きかった．