新潟地方の地球化学図

摘要

地球化学図とは地殻表層における元素の濃度分布図のことである。この中で地域によってしばしば特定の元素の高濃度城が認められることがある。 このような高濃度城はどのような原因で生じているのであろうか。人為的な影響としては，現在問題となっている産業廃棄物処理場や工場跡地からの汚染などが考えられ，これに対応して土壌汚染対策法が制定され有害物質による土壌汚染の規制が強化されようとしている。 ところが，自然界には鉱床などのように自然的な要因でもともと特定元素の濃度の高い地域があり，環境汚染を正しく評価するためにはこれらの自然起源の元素によるバックグラウンド値を正しく把握する必要がある。 新潟地方を含む北陸地域（ここでは能登半島を含む石川県から富山県，新潟県にわたる地域とする）においても佐渡金山や赤谷鉱山をはじめとするいくつかの鉱床が存在する。 また，妙高火山周辺のような火山や温泉，および糸魚川-静岡構造線のような大きな断層があり，これらも元素の分布に影響を与えていることが考えられる。 ここでは上記の新潟地方を含む北陸地域周辺の地球化学図と元素分布の特徴について述べる。