3Dレーザスキャナを用いた軍艦島の計測とモニタリング－3Dレーザ·稜線抽出処理

摘要

近代化産業遺産は，製鉄所などの工場設備や鉱山，橋，ダム，発電所などの建造物，さらには河川や港湾施設など，産業の発展と社会の近代化を支えた総体を文化遺産として捉える概念である．しかし，近代化産業遺産に関しては，関連する法制度，管理体制，修理技術などが，従来の木造を中心とした文化財建造物と比べて多様であることから，それらの修理，管理，活用に関する考え方や手法が十分確立されていないのが現状である．また大規模で，老朽化が進んでいるものが多く，調査には危険性が伴う．従来のような手法で建造物の正確な形状記録や変状を計測することは困難であり，先端計測技術である3Dレーザスキャナなどを用い計測·解析技術による支援が有用としている．本論文では，近代化産業遺産として注目されている端島（以下軍艦島）を例に，3Dレーザを用いた現場のあるがままの形状を捕捉するAsBuildデータ取得とその利活用について論じたものである．稜線抽出を行うことでより簡易に破損図作成を支援できること，また2時期にまたがり計測した3D計測データは変状監視にも活用できることを示した．