海水すべり軸受材のトライボ特性－揺動すべり試験と回転すべり試験の比較

摘要

船舶のプロペラや海水ポンプなど数多くの機器が海水環境下で使用されている．また，海洋空間の有効利用を目的として，多自由度カップリング装置を用いた多連結浮体システムが注目されている．このような海水環境下で使用される機器の摺動部材においては，腐食と摩耗が同時に進行し大きな表面損傷にいたることがある．現在，摺動部材として軽量な高分子樹脂系材料や耐食性金属材料が用いられているが，これらを海水環境下で使用した場合の軸受材としてのトライボ特性についての研究は多くない．筆者等はこれまで，海水中における金属材料のすべり摩耗や腐食摩耗について研究してきた．今回は海水中における軸受材のトライボ特性の解明を試みた．本研究では，海水環境下で一般的に使用されている軸受材の中から高分子樹脂系材料および銅合金系材料を選定し，摺動形態の異なる2種類のすべり摩耗試験を行なった．その結果，海水中で使用される摺動部材として適した軸受材を見出すとともに，摺動形態の違いによりトライボ特性が異なることが判明した．そこで，今回行なった2つの試験方法による結果を比較検討するとともに考察を加えて報告する．