体内時計システムを利用した薬物誘発性精神疾患予測法の構築

摘要

生体の各臓器には細胞レベルで「体内時計」が存在しており，体内時計の自律的な活動によりさまざまな生体機能に約24時間周期の日内リズムが認められる. 1997年に哺乳動物において生体リズム制御遺伝子(Clock)が発見された後，体内時計の制御システムに関する研究が急速に進み，体内時計は3つの転写制御配列（E-box， D-boxおよびRRE)と約20種類の転写因子（時計遺伝子）による転写調節ネットワークであることが解明された.この体内時計の転写制御ネットワークの中で，E-boxに関与する時計遺伝子の数は他の転写制御配列よりも多く，体内時計のアキレス腱と考えられている.これまでに作成された時計遺伝子改変マウスはE-boxに関連するものであり，Per2, Clock, Cryl/2の改変マゥスでは体内時計が破綻し， 易発がん性，過食,食塩感受性高血圧を呈している.