水素医学の現状：基礎医学から臨床医学へ

摘要

水素分子(H2)が生体内で有効な抗酸化剤として機能し，抗酸化治療および予防に適用できることが2007年にNature Medicineにおいて示され，1)その後，5年間に200報を超すH2の抗酸化治療に 関する論文が発表され，抗酸化効果だけでなく，抗炎症作用，抗アレルギー作用，エネルギー代謝亢進作用など多様な機能があることが明らかにされた.2'3)現在は，多方面で臨床試験が本格的に開始され，人間に対する有効性が明らかにされつつある.H2の摂取法としては，水素ガスの吸引， H2を溶解した点滴液の注入，H2を溶解した水の飲用，H2を溶かした風呂への入浴，化粧品の使用など多様であり，今後の広い範囲での展開が期待される.H2には，いままでの概念を超える顕著な効果を発揮する可能性が秘められている（図1).